左手の、左手による、左手のためのピアノ曲!?
通常ピアノを弾く時
左手で伴奏や低音部分を弾いて、
右手でメロディーや高音部分を弾いたりしますよね!?
これから紹介する曲は左手のために作られた、
右手を一切使わない曲なのです!
作曲者の名前は「モーリス・ラヴェル / Ravel 」
作曲者の名前は知らなくても
もしかしたらこの曲は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ボレロ / Bolero
もともとバレエの為に作られたこの曲は
同じリズム、メロディーが繰り返されていくなかで、
様々な楽器が加わっていき、
劇的に終る。
テレビや演劇などでも広く使われて
愛されている楽曲ですね!
そんなラヴェルに、あるピアニストから作曲の依頼があった。
「左手だけで演奏する曲を作ってくれ」と。
彼の名は「パウル・ウィトゲンシュタイン / Paul Wittgenstein」
オーストリア生まれのピアニスト。
彼は第一次世界大戦中に右手を失ってしまいました。
けれども、ピアノを演奏することを辞めなかったのです。
だけど、どの曲も両手を使う楽曲ばかりで、
演奏することが出来なかった彼は
作曲家ラヴェルに曲の依頼をしたのです。
「左手のための協奏曲 / Left Hand Piano Concerto」
協奏曲とは独奏楽器と管弦楽によって演奏される楽曲。
簡単にいうとソロの楽器とそれ以外の楽器で構成される曲のこと。
この曲は独奏(ソロ)のピアノと管弦楽から演奏されるピアノ協奏曲。
ラヴェルにとって初めて作曲したピアノ協奏曲です。
それがこちら。
Yuja Wang – Ravel Left Hand Piano Concerto
見事に左手の為につくられた、
素晴らしい曲。
構成は3部からなっていて、
1部は重々しい調子から始まったと思ったら、
なんとも幻想的な響きのピアノが入ってきて、
華やかに、そして綺麗な情景を描きながら
可憐な美しいメロディーが印象的。
2部は太鼓とトランペット景気の良い音から始まる。
すこしジャズテイストが入った軽やかなイメージ。
3部は映画ワンシーンの様な感動的な1部の主題が演奏され、
ピアノのソロを経て打ち上げ花火の様に潔く終る。
余談ですが、この曲を依頼したウィトゲンシュタインは
1931年11月27日にウィーンで初演を行ったのですが、
楽譜通りに弾けず、勝手にアレンジしてしまった為、ラヴェルと喧嘩。
険悪の中に。。。
その2年後の1933年1月27日のパリで別のピアニスト、ジャック・フェヴリエが再演し、
こちらが正式な楽譜通りに演奏された初めての演奏となったのでした。